"…張り切ってたんだなぁ 俺…"
仕事人間でプライベート適当で恋愛もご無沙汰で無精髭のノンケ唐木さん。
モテたりもしない。
真性ゲイの水戸くんの告白から始まるんやけど、なんかすごくリアルで引き込まれちゃったな。
"BLはファンタジー"ってよくきくけど、それってよく分からないの。どういう風ににファンタジーなんだろう?何がファンタジーなんだろう?
ファンタジーって何?
私はファンタジーとして読んでないんだと思う。
(まぁ、あの、えと倫理に反するドスケベよりのものとかはファンタジーって都合よく使い分けてるけど)
ファンタジーじゃなくて現実こんな風にゆっくり確実に恋に落ちている人はいるんだというリアルさを求める。だっているやんね?同僚にゲイの人がいて誰かに惹かれてそうしてゆっくり愛し合う事なんてあるに決まってるやん。
そのリアルさが今作はすごく肌に感じ取れるねんな。
ゲイの水戸くんの恋愛観、セックスの軽さとかはそうして今まで生きてきたんやなと思う。
ノンケを好きになってしまう水戸くんやから尚更やと思うな。
だからこそ水戸くんが唐木さんに必要とされてる気がするとうずくまって吐露すると、今までの水戸くんの平坦ではないだろう恋の道のりを案じる。
唐木さんは変な偏見なく、ただ自分のような人間が何故好きなのか?ということだけを問う。
誰が相手でも公平な、でも決して情熱的じゃなく、なんとなく流されてる感じが本当いい。
こういう人のセックスってどんなだろう?ってセックスって興奮するんだよな。
しかもどこにでもおりそうななんかだらっとした唐木さん。童貞でもない。そこそこ経験ありそうだけど今はそんな事どうでもいい男のセックスってなんかすごく萌える。(セックスはいたって普通なんだけど、それがいい)
なにかしてあげたい。
好きと伝えたい。
水戸くんがいないとだめだ。とそう思わせる過程がリアルでぴりっと辛味が効いてて本当いいな。
雷撃たれる!ビリビリ恋しちゃった!!!おまえじゃないと!おれは!絶対!だめなんだー!っていうパッション溢れる恋もいいけど、こんな日常の中の誰にでも明日にでも今日にでも訪れてるかもしれない普通のそして当人にとったら普通じゃないそんな恋物語。