"少しだけ近い
今少しだけ
ほんのすこし…
52ヘルツに近い"
子供の頃から、好きな言葉というか、ソレよく言うてるって笑われるんだけど(本当しょっちゅう言っちゃう)
武士は食わねど高楊枝
って言葉ってかことわざ。
抗えない欲望をすっと抑えて例え痩せ我慢であっても他人から見た自分のイメージを崩さないと努める美しさが好きなの。
自分が己の欲望のままにだらしなく生活しているからその清廉さに憧れてるし、そこには幼い頃からの男はこうでないと。っていう固定観念があるんだ。
こーゆーの言っちゃダメな世の中なんやろうけど。まぁ男女関わらず欲望を垂れ流しにしている様はみっともない。
旦那氏にも事あるごとに「武士!高楊枝!」って言うんだけど、決まって「俺武士ちゃうし」って言うてくるからマジほんと高楊枝して欲しい。
武士先生、早寝早起きの規則正しい生活に運動、仕事、自炊。静かに淡々と過ごしている。自分の決めたルーティンをきちっと行う様は見ていて気持ちいい。
のですが、オメガなんですってね。
オメガバ、散々読んできましたので、突然ヒートなどがやってきてどんちゃん騒ぎになりますね。
それは自分でコントロール出来ない。そして一番の難点は他者が起因になってしまう。
52ヘルツのクジラを羨ましく思う武士先生。
高楊枝でいられない。
楊枝が床に落ち、無様に這いつくばって探さないといけない。
本当は高楊枝できます!いつも出来てます!昨日だって出来てました!高楊枝の時の俺だけ見て!っていうのが不条理なオメガバ世界。
きっちりした人の肉欲に溺れる姿を見るのってイケナイものを見ている感が倍増して大好き。セックス中の様子が想像出来ない人ほど、身体をくねらせてよがる姿をみたい。興奮しちゃう。から興奮した。
さて、初めてセックスしました。その後武士先生は冒頭の言葉を思う。
ほんの少し52ヘルツに近い。とはどういう心境なのだろう。まさに今52ヘルツのクジラと決定的に違う自分なわけだけれども、少しだけ近い。
それは自分はオメガであり、彼はアルファである事なのだろうと思う。
52ヘルツの歌声でうたうクジラ。
誰も彼の歌声を聴くことができない。
ほ乳類ヒト科の学者に断定されたクジラ。
広い海の中で呼吸すら出来ない人科に、故に彼は孤独だと断定されたクジラ。
そんなの分かんないよね。だって歌ってるんだから。どこかの誰かにだけ届いたらいいとおもってるかもしれないし、他のクジラのために歌ってるんじゃなくて、それはカモメのためかもしれないし、遠い陸の椰子の木のためかもしれないし、自分のためだけかもしれないし、そもそもそんな声出してませんし計測器がおかしいんじゃないですか?ってことかもしれません。ほっといて。
絶対確かなことは、我々人間のために歌ってるんじゃないんだから、勝手にひとりぼっちのハンコを押さないで。