あーもう尊い!
尊すぎて死んじゃうー!
織田さん推しの美羽ちゃんの言葉。
この世界線に私が住んでいたのなら同じようにTVのライブ中継に張り付き、Twitterをみて、ときめいていたと思う。
死を待つ美しい死刑囚にきゃっきゃしたり、死刑を反対してみたり、友達と「あんなにイケメンなのに可哀想。ずっと見てたい!やだ!」とか言ってそう。
毎日毎日見ているうちに誰よりも織田さんの理解者になったつもりで織田サマツアーに申し込むだろうし、ツアーに当選した友達を羨んで、もしかすると私だって…ってくらいにのめり込んだお話。
死刑囚をエンタメとしてライブ中継する。
なんて悪趣味な!とサラッと思うけど、同じように他人の人生を一瞬のエンタメとして消費してるよね。今も。
ミーハーで飽きやすく物事の断片しか見てないのに自分の狭量さで判断する様をアイロニックにみせてくれる。
織田さんは2人の男を愛した。
渡瀬に愛してるから殺してくれと頼まれ
水谷に愛してるなら殺してくれと頼む。
死を受け入れてたのに、明日を望んでしまう。
水谷も織田さんとの未来を望んでしまうのがこの世界線では辛すぎて、そして刑務官もミーハーな世間もシナリオライターさえも誰もかれも織田さんの死を望まない状況で、水谷の手によって、明確な織田さんの意思によって死刑が執行されたときの脱力感。
このお話で思い出したことがあるんだけど、昔、イラクでテロ組織によって公開処刑されてしまった若い日本人青年がいたこと覚えてる?
なんだか凄く浅はかな理由でイラクに行ってテロ組織に捕まって、当時の首相は小泉さんだったかな?
自衛隊をイラクから撤退させないと殺すみたいな脅しをし、テロ組織には屈しないということでその青年は殺されその様子を全世界にネット配信された。って感じだったと思うんだ。
ニュースも世論もそんなものは自己責任。危ない国に行くのが悪い。税金使って助けるとか迷惑。死んで当然。小泉さんも全然助ける気がないように感じた。(水面下ではきっと凄く交渉してたと信じたい)
私もそのニュースみてて、へぇ〜なんでそんなとこにわざわざ行くんかいな。あほちゃうか。くらいに思ってたの。そして平和な日本で暮らしてる私は絶対死んだりないやろ。って漠然と思ってた。
ただその青年の父親がご迷惑をおかけしてすいませんと頭を下げていた様子は今でも覚えてて、あぁ本心でない。
何がなんでも助けてよ。自衛隊も撤退してよ。税金も使ってよ。ってあなただけは言ってもいいのに。って悲しくなった。
そしてね、何故か世論は同じ日本人が異国の地で死の淵にいるのに、いけいけ殺せぐらいの雰囲気になってたと思う。
ご存じの通り、殺された。
そのむごい様子をネットで見た人もいるんじゃなかろうか。そんなものを見るなんてって理性は言うけど、私も見たの。
映画やドラマでは刃物で首を切られる時って泣き叫ぶけど、たしかもう諦めたように大人しかったと思う。
そして、時代劇のようにサッと切るんじゃなくて、じりじりとゆっくり切られていくの。
一体どれだけの人があの動画を見たのか知らないけど公開されたら潮が引くようにみんながみんな黙り込んだ。
自己責任!って怒鳴り散らしてた人達も口をつぐむくらいの衝撃だったんだ。
そうして、下世話なメディアはまた哀れな父親にカメラを向けてまた父親はご迷惑を、って謝ってた。
自分1人で動画を見た後、彼氏にあれ見た?って言ってまた一緒に見たんだ。
一連見終わってから彼氏に「こんなん見るなんて悪趣味や。」って言われたの。
自分の低俗なミーハーさを批判されて恥ずかしくなったけど、あなたも初めて本当の殺人を目を見開いて見てました。そこには好奇の色が確かに有りました。って思ったけど言わなかった。
そこにはタイムリミットを迎えた罪のない青年がいる。
自分と変わりないミーハーで浅はかな青年だったように思う。
政府は見捨てたけど、強烈な世論で救えた命かもしれない。
でも私達はただエンタメとして消費してしまったんだな。
織田さんの死刑執行までの日々を楽しむ人々と同じように。
死刑が執行され最終回を迎えたら、ちょっとだけ立ち止まって、また次のエンタメに興味を移す。
ラストエピソードの
「君が僕を殺すまで」
夢オチのようなこのエピソード。
織田くんの死刑執行は10月だけど、こちらの季節は雪が降るクリスマスに近い日。
色んな見方ができるのだけど、私の説はこうです。
水谷さんは、シナリオライターのセリフを淀みなく言えるように網膜にチップ(コンタクト?)を埋め込まれた設定だったよね。そして任務が終わった後はアクセスコードを破棄したからそのまま使っていい。視力が上がって得したと水谷さんは笑ってた。
だから特殊なそのチップで水谷さんには織田くんが見えてるんじゃないかな?本当に見えている。
夢じゃなくて、本当に織田くんと暮らしてるんじゃないかな?
そうだといいな。
実体がないなんてそれは幻でそんなの悲しいと思う人もいるかも知れないけど、水谷さんが見えてるならそれはもう現実なんだから。
夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです。って村上春樹も言うてる。
まぁまた勝手なテーマソングのコーナーですね。
どんどん織田さんの生活にのめり込んで消費しまくる人々の様子がEDM全盛のザEDMのリズムにぴったりな上、その才能を狂乱の中で消費に消費した彼の人生とこの物語もリンクする。