"あの頃のオレ達は多少深刻には死にたがってたし
試みてもいたが
ただそれは
自殺では満たされない欲求だったのだろう"
クソのクソを詰め込んでクソを見せつけられて、私は綺麗な物しか見たくないの、美しいものをみせてクソには蓋をして隠して見せないで。頭の片隅では認知しても見たくないの。きれいなものだけ並べて見せて。そう思う自分は一体なんぼのもんやねん。
ほら一体なんぼのもんか言うてみれよ。つま先でふわふわ生きてるオマエは一体!なにが!なんぼ!や!おい!こら!ってドタマどつかれるお話ですね。
見たくない人は見なきゃいい。関係ないんだから。こーゆー人のお話は。
私は見たくない。でも見たい。ああなんて見たくないのに見てしまうそうして心を囚われるんだろ。
佐伯の事を想おう。
哀れな佐伯。
字の書けない佐伯。
圧倒的に足りない佐伯。
何かになりたかった佐伯。
ロシア語なんて話せないと言った佐伯の隣で翔がロシア語を話し始めたときのそのぽかん具合。
死ぬ時、
あーどっちでもいいから早くやってーっていうそのもう厭世。
城には絶対到達出来ず、カフカの城 Kそのもののような佐伯。
カフカの城、読んだ?私冬になれば読みたくなって何度も読むんだ。
翔ちゃんはなんでエッタしてくれない。なんて。
エッタしたよね?ね?エッタしたとおもう。エッタされた事無かったことにしたらルール違反やで。ズルやで。
1巻の書き下ろしの佐伯が小説家を目指すストーリー。いいよね。すごく。
小説家だと言われたとき、すごく小さな型に押し込まれた感した。
そもそも恋空とカフカは相容れない。
彼らは出生地や生い立ちでクズの概念が違うと思うんだ。
父親や仲間にレイプされた。薬漬けや。仲間に死ぬ程殴られた。
だからなに?
私が日々
会社のこの女がムカつくだの、旦那のココがムカつくだの聞くのと大差ないねん。
鬼戸さん。父のようになりたくなく、だからといってなにか芯があるかと思えばなく、聳り立つのは虚栄心。色っぽいよね。鬼戸さん。ちんこも大きく、
おうおうと呼応しながら男を抱く様。
翔の望むように翔を抱く様。色っぽくて生き様が刹那的で何とでも上手くやれたのやろうになんやそれは。
何者にもなりたがらず、過去を無駄に振り返らず自由に生きた翔。闇雲に自由を気取ってた訳じゃないんやろうな。
佐伯に心身捧げ、鬼戸の為に佐伯の名を捨て、ポニーテールをしたり、あの足にはきっと痛いであろうヒールを履いたり。
さてまぁ、ラスト書き下ろしもあるのだけれど、無粋なことを敢えて言わせてもらうのならば、あの船で鬼戸は死んだのだろうな。
結局のところKは城に行くことは出来なかったのだから。
あんたが入る城など、決して、ない。
普通に生きるって一体なんだろうと思う。
普通に生きてると自分では思ってるけど普通の均衡など危ういし、一体誰と比べての普通なんだろう。
小学生のころ、友達のママにすごく憧れたの。
私の母はヒステリックで今思っても頭がおかしい女なんだけど、友達のママは違う。
家を可愛く彩り、優しく映るから、きっと声を荒げたりしないんだろうと思って羨ましかった。
ある日私が粘土のおもちゃを持ってその子の家に遊びに行ったの。
その子の妹がその粘土に執着して遊びたいとねだったけど意地悪な私は嫌がった。
そうしたら、影で、そのお母さんが幼い妹の顔の直近にライターの火を着けて
あのおもちゃで遊びたいか?って小声で聞いてるんやね。
泣きながら、いらん、っていうとったけどほんまに戦慄したな。
普通って一体なんやねんな。