馬鹿め。
傲慢なクズの凍月さん
不憫貧乏美人の奏の話で、一見すると奏がえらくかわいそうに思うんだよね。
愛を示す形が極端なんだけど凍月さんは初めから真っ直ぐすぎる想い(伝え方が常軌を逸してる)を奏に持ってる。
そして、憎しみと愛と依存でくちゃくちゃになってる奏。
セックスをする度に、凍月の鎧のような傲慢な性悪さが奏に流れ込み、
奏の純真さが凍月の奥深くに流れ込んでいく。
お互いの人格をセックスで交換していってるみたい。
凍月はその漏れ出してしまいすぎちゃってる愛を惜しみなく奏に注いで、奏は嬉く思う自分を自戒するように 馬鹿め と罵る。
ストーリー中に登場する、醜女達が魅力的だなぁ。
醜女のみ出てくるから、2人の(特に奏の)美しさが際立つんだよね。
まず第一の醜女 奏の母
老いや病が醜いんじゃなくて、奏自身も嫌気がさしているように、哀れを見せつけて縋り付く様が醜い。
璃子が戯れに塗った派手なピンクのマニキュアが先端剥がれた老いた指先はどんなに醜くく貧乏くさいんだろ。想像つく。
第二の醜女 璃子
言うまでもなく醜い。
井の中の蛙、だらしなく、性格がどうしようもなく悪い。ああいう女はどういう風に老いていくんだろうな。
第三の醜女 凍月の妻
まず、顔が醜く描かれてある。
でも凍月は彼女のことを実家のスパイ、物を言わない、便利、と言っていたけど、一言も容姿を指摘してないし、それどころか結婚式の時には同級生に蔑まれてた彼女を守ることさえしていたのに。
だから彼女は容姿の悪さを呪いのように恨んでたけど、それは何の努力もせず、他人を妬むことしかしてこなかった自分のせいじゃなかろうか。
自分の顔の造形が気に入らないなら他の気にいるところを磨けばいいだけやのにね。
凍月は奏の事を
容姿もキレイだけど、心のありようがキレイだって言うてたもん。
まぁ奏は容姿のキレイさで毒を隠してるとこあるけど。
第四醜女 ヘルパーの女
第五の醜女 事務の田中さん
醜女というのは少し憚られるけど、正論で他人を断罪するくせにそれはあくまで安全圏である外側から。
何かが起きているのに気がついてはいながらも行動は起こさない。
こういう事は自分もしがちだから気をつけていかないと。
凍月の愛は凄まじいな。
最後、2人は晴れた日の下で、美しい犬がいて、いちごを食べて(奏は本当にいちごが好きなのかな?可憐な自分を演出した延長なのか)
見目麗しい2人ぼっちの世界で、すべての人に祝福されるって訳じゃなさそうだけど、
いいの。2人が笑ってるなら。
あのいつも暗く曇っていた狭い掃き溜めのような町から、ちゃんと約束通り奏を救い出した。