ハオレン
俺の本当の名前
この作品は相当好きすぎるので
熱量多めに感想を吐き散らかしたい。
ネタバレしかないから
ぜひ読了後きてほしいです。
絶対読んでほしい。
まずすべてのページが美しい。
そんで、読んでる間ずっと空気がひりつく。
次元が歪んでるような不思議な空気感の作品
お互いがお互いしかいなくて
もとからないものや失ったものが多くて
ほんのちょっと相手がくれただけでお互い絆されていく感じが悲しくて。
千紘はゴミみたいな生活をしていても元は結構いい家出身なんですよね。
だから、我慢がきかないのかな。
カメラマンの修行だって、他のとこでもがんばればいいのになんでやめちゃったの?
恋人が結婚しちゃってやぶれかぶれになっちゃったの?
写真を撮るのも好きなのに
元彼のことも一途に懸命に愛したのに報われないのに、育ちの良さからか素直で健気でちゃんとした優しさ持ってるような感じがする。 まぁ子供の食べ物奪っちゃうような子だけど。
でもあの子供、なんも失わないよね。きっと。すぐまた同じ物を優しい母親が買ってくれる。
千紘は家族に拒絶されて帰る家もないのにね。
千紘が実家にカメラとりにいくの切なかったな。
なんだかんだのハオレンもついてきてくれて
鍵をかえられてて家に入れなくて、
窓の外から自分だけ除外された家族写真みて
落ち葉が舞って
ハオレンの髪の毛も風にあおられて
めちゃくちゃ美しくて悲しいシーン。
ゴムがないとハオレンは最後までしないのって
千紘が後しんどいでしょ。って心配してて、
ハオレンは今まで散々な目(本当に散々な目)にあってきたから自分は他人にそういう思いをひとかけらもさせたくないからなのかな?
ハオレンの考え方は
あんまり推察することができなくて、
普通に生きてみたいと思うことすら恐れてる生活だったから、私のような人生常にぬるま湯です!って者には分からなくて当然か。
ハオレンはお箸の持ち方も全然なってなくて
そんなの教えてくれる人なんて誰もいなかったんやろ。ってのがな。おげれつ先生すごい。
千紘がハオレンの手を握った時
咄嗟にきもち悪いって言ったの、
希望を持ってしまう自分にびっくりしたのかな?
持つことを知らないうちに望む自分に気持ち悪いって拒絶しちゃったのかな?
ケイトじゃない
ハオレン
ってシーン、これまた美しい。
千紘がハオレンって呟くとき自分まで声にだしちゃう。ハオレンって。
言葉の響き美しい。
二人で早朝ボートにのって、
誰かの家の下手くそなピアノが聴こえて
そうして、二人で線路に寝て
二人きりだともう浮世離れしてて(ここのシーンも映画的ですごくいい)
簡単にあっち側に渡る選択をしちゃう。
現実は二人にとって残酷すぎるから。
ハオレンに千紘がいて
千紘にハオレンがいてよかった。
浮世離れした二人に加治がいてよかった。
世界から爪弾きされた美しい二人の話。
すべてのページが悲しみを含んだ美しさでうっとりします。
めちゃくちゃ大好きな作品です。
おげれつ先生はやっぱり神。