"あなた方には分からなかった
それだけだから"
この御本には独特の時間軸がある。
すべてがゆっくり流れて
いちにちがまるでえいえんみたい
幾の少しポエミーな言葉のチョイスや、ミトの浮世離れした所作にあるのかな。
私ね、この御本初見の時、お話にうっとりする反面、ドス黒い感情が少し頭をもたげたの。
ミトは5歳のとき、痛ましい事件の被害者となり、その事がトラウマとなり今もお外に出られない。
だけれどもミトには世界的に有名になる程の絵の才能がある。そしてそれは実家の財力により世に出た側面もあって、今も弟に守られ、好きな絵だけを描いていればいい。そんな状況になんか甘えん坊やな〜ってさら〜って思っちゃって。
それは、同時期に読んでたハッピーオブジエンドのハオレンの事とか思い出して、酷い目にあっても、今も地を這って生きていってる人だっておるのに、ちょっと恵まれすぎじゃねーの。みたいなね。
そう思った自分にびっくりしちゃってね。
自分は一切そういった目に遭った事がなく、周りに甘やかされて生きているくせに、他人の傷をまた他の他人の傷と比べて、がんばれよ、と思う自分の身勝手過ぎる傲慢さ。
こういう他人の痛みを外から見てジャッジするような行いもまた被害者を深く傷付けるのにね。
幾は違う。
幾は自分は逃げた、自分は人を信じないし信用されない。と言うけど、幾は人の痛みと努力を我が事のように感じ取って褒める。
ミトの事も勇敢だと褒め
八斗も八斗の暗闇から救い
玲音を焦りや周りの騒音から愛で包んで守る。
本当に幾の実家の周りの人は幾の何を見てたんだろうね。
幾は美しいものが分からないって自分を卑下するけど言うまでもないけど、何をもってして人は美しいと感じるのか人それぞれなんだから。
ミトと幾は互いにずっと褒め合ってていいな。
好きになった人だもんね。欠点を論っても無意味だもの。好きなところをたくさん口にしないとね。
ゆっくりの時間が流れるロマンチックな2人の運命の恋のお話にはこのBGM
ビートルズのStrawberry Fields forever
歌詞がこれまたミトと幾にぴったりすぎなの!