蝉丸はいつ死ぬの?
このお話は鶴の恩返しとだいたい一緒なんすわ。
命を救ってもらった蝉が宇宙人と子作りしたいなって人間化して、ほんで、子持ちのオネエが家主の宇宙人の家に毎日子作りしよーってミンミン言うとる話なんやわ。
わっけわからんし、ほんまにおもろいんかいなって思うでしょうけどね、こちとら生粋の大阪人やらしてもらっててね、笑にも相当厳しいんです。
そうそうなことじゃ笑わんし、すべらん話とか観てても、もっとこういう感じで話もっていかんと!ってダメ出しするくらい厳しいですしね。
ってのは嘘で、なーんでもすーぐ笑っちゃうー!
だから、オモロいって言うてもなんでもわろてるからいまいち信憑性にかけるけど、雪路先生おもろいんやわ。
まず、
蝉
宇宙人
子持ちのオネエってとこでキャラ濃いが大渋滞起こしてるやんか。そんな大風呂敷大丈夫なんかいな。って心配になるけど大風呂敷をきっちり隅々まで魅せてそしてその大風呂敷の端で涙拭わしてもらってもいいですか。ってとこまでもっていく力量は他に無いんじゃない?(信憑性…)
蝉丸が宇宙人オンディーに生殖活動を求めるけど
オンディーは頑なに断るわけ(まぁ当たり前)
この物語はオネエの子供がいい仕事しとるんだわ。
BLを読む上で子供の存在は全くいらない派で
それは多分自分の周りにあんまり子供がいないから子供がよく分からんくて、「ただ小さいだけの人間」として捉えてるの。
だからその小さいだけの人間に振り回されている様が面倒くさいしイラつくんだよな。
(本当ごめんなさい。自分は人より母性本能がかなり足りてない精神年齢が低いダメ人間だと自覚してます)
だけど、この物語のこの子供は
ただ小さいだけの人間として存在してるんや。
夏が終わりに近づいていることが
物語で示唆されていくと、ギャグにけらけら酔い知れてた心がクンって冷たくなっていくんだ。
蝉だから。
とかく私達はセミの一生をなんだか儚く捉えがちで
何年も地中で過ごし、一夏に鳴きに鳴いて、まだ暑さの残るお盆過ぎには足をバタつかせてその一生をコンクリートの上で終える。
たまにごっつい早くセミの鳴き声を聴いたら
早いて!
って心配なるし、
遅いて!
って心配なる。
蝉丸はオンディーの星に行けば長生きできるんだけど
そうじゃないなんな。
ただ、今日始まる一日を、一夏のたった数日のピカピカ太陽が射すこの日をのんびりと
ただ夏休みが楽しければいい。
この辺ですでに号泣。
みんなが蝉丸との最後を意識しだす夏休みの終わり。
号泣しながらこの御本思い出した、
寿命の差のある生物の対比を説明してくれとった気がして再読したら、ちと違った。
3歳の一年と30歳の一年の長さの違いやった。
30歳の一年の方が長いの。
年取ると一年が早いってのは長いから早い。
夏が終わる。
もうめちゃくちゃ泣いてもたがな。
小さい人間が現実を大人につきつける。
そしてオチも笑いを含んだ最高のオチ。
夏はいつだって私にとって特別。
それは過去を今取り出してるから鮮明に覚えれてるらしい。動的平衡的には。