なかなかなかなかの読むの大変やった。
月に笑う から読んだので、月に笑うのスピンということはきっと彼が主人公なんだろうと思っていたらそうでした。
月に笑うの方で惣一はなんとも冷酷でしつこくて本当うっとおしかった。
ヤクザ社会の袋小路の息苦しさに嫌気がさした。
だから灰の月を読み始めるとき、惣一には多少苦難があるだろう。それで溜飲を下げようと思ってたの。
溜飲、ゲロ吐きそう。
いや、そこまで私、望んでおりませんので。全然もう許してあげてっていうか辞めてほしいんで。まじで。ってなる。
灰の月を読んだ人がこのブログを読んでいる、という事で話を進めていきたい。あらすじを説明するのは面倒だから。
惣一が美しいものを好み、趣味がよく、頭が切れる男だということが2作品通して頭に叩き込まれる。
嘉藤はその忠実な犬。
月に笑うではペニスバンドで女にお尻を犯される性癖が明らかになった。
性癖なんて人それぞれだし、特殊な性癖を持つ者はそれだけ己の欲望と向き合っていると感心することはすれ軽蔑しない。(犯罪は別)
ただまぁ私は腐の民だから、まぁ本物のちんこが欲しいんだろうね。そりゃね。って思うから嘉藤のちんこを入れろと命令するまではまぁよし。
その前の集団暴行に関しては、私の胸とお尻がひりついたけども、ヤクザ社会だから。ってことでまぁ読み進めた。
映画アウトレイジでも恐ろしいほどのヤクザ社会を垣間見たから。
ただその後、嘉藤を欲する惣一。
こうなると本当、嘉藤と全く同じ気持ちになる。
なぜ完璧な惣一がそのように雌に成り下がりみっともなく男を、自分を欲し、それさえなければ完璧に尊敬できる男なのになぜそんなに色狂いなのか。
男が欲しい。それはいい。だけども、そんな連日何人にも腰を振って喘いであほうなのか?とやはり思う。
食欲を抑えることができず醜悪な肥満をさらす人に通じる気持ち悪さを覚える。
小説だから"ああん"といった喘ぎもあほらしさを誇張させてますます嫌だ。嫌なの。頭も良くて洗練された彼がそんな醜悪を好きな人の前でありのままにさらけだすのが。
と同時に嘉藤の頑なさにも苛立つ。
あんたさえ惣一を愛したならこういうことにはならない。ばかたれ。と憎む。
そうしてもうそんな惣一が生理食塩水だかなんだかしらんけどもおっぱいをつけたそのもうおぞましさ!
ああ!いや!
抱くならブスでも年寄りでも女がいいと宣う嘉藤に呼応したもので、ああそんなに好きなんだね☆とはならん。
惣一は性同一性障害でもないわけで。タイの美しいお姉様たちとは違うわけで。
男の身体に、ただ唯一の男に愛されてたいばかりに胸をつけるその短絡さ。
美しくスーツを着こなすその身体のフォルムが崩れることを厭わないその溺れ切った脳内!許せない。美しいものが壊れるのが私は絶対許せない!
そして恥ずかしい!いやだ!
なぜこんなに許せないのだろう。
自分はリベラルな人間だと思っているのに、男の身体にふくよかな偽物のおっぱいがついていることに怒っているのか?
否。
美しくない。というその1点について私は怒る。
ありのままの平で美しい胸を、嘉藤は愛するべきだったのにそうしなかった。
偽の脂肪をつけるほどのことをするような真似を賢い惣一にしてほしくなかった。
じゃあ、私の望むようにしたなら?
したなら?
隠して、我慢して彼らはあの窮屈な世界を生きねばならないのか?今日明日死ぬかもしれない世界やのに。
2人がねんごろになっても、まだ私は、えーおっぱいそのままなん?って思う。
挿絵で現実を突きつける。
私、挿絵のある小説を読むのがBLが初だから、批判を覚悟でいうけど、挿絵いらんのよ。
文字から脳内で世界を構築してるのに、え?こんな姿形なん?っていちいち驚くの。
挿絵は美しい。ただ自分の脳内と違うからそこで上書きしないといけない。
さて、まだ惣一には苦難が続き、最後にはちんこすらなくなり薬で頭が呆けて、そやけどそれは惣一が渇望した女のような異形のものとなり、嘉藤が肉体労働で日銭を稼ぎ、惣一は猫と戯れその帰りを待ち、夜にはセックスして寝るという女のような生活を送る。
さて、はて、ほんまに惣一は呆けているのだろうか。
風邪をひいたとき、嘉藤が優しくしてくれると喜んだ惣一なのだから。
金も稼がす、組長にもならない自分。その自分を捨て置けないでそばにいてくれならばいくらでも白痴になろうとしているのではと可哀想な惣一を想う。
それほどまでに愛されたなら相手がどんな異形であれ死ぬまで愛せ。